2009年 02月 18日
『長崎の文化財と共に縁起物づくしのお寺』 |
唐寺、崇福寺の坂段をゆっくりとのぼる。
そして見えてくるのが、朱色の門。
これが国宝に指定されている、「第一峰門」である。
先ず目についたのは、軒裏の組木の複雑さ。
何とも興味深い。
どんな風につくるのであろうか?
是非とも、その工程を見てみたい。
NHKonlineによると
第一峰門は、現在の中国・福建省の辺りから船で材料を運び造られたそうである。
日本にはなかった建築様式、彩色も中国的要素が多く、当時としては非常に華やかな
建物だったと考えられるそうだ。小高い丘に建ち、台風などの影響を受けやすい
場所にあるものの、両脇に付属の建物を取り付け補強することで、約300年以上も
維持されてきたと考えられているとのことだ。
また、中国から資材を運んだ建物の中で現存する唯一のものとしても非常に
貴重な建物だとか。
成る程、控え目な色が使われる日本独特のお寺と比べると、やはり唐寺は
色彩が豊であり、建立時は特に華やかな雰囲気のお寺として存在していたことでしょう。
また、中国(福建省周辺)からわざわざ材料を運び造られたということで、
中国の方の崇福寺への思い、また故郷への思いの深さが伝わってくる。
一つの門にも、様々な物語があると、改めて感じる。
それにしても、ここからの景色は何とも良い。
門は勿論の事、奥の方に見えるランタンも本当に美しい。
門をくぐる。
やはり軒裏の組木が気になる。
完成までにどれくらいかかり、また何人程で完成させてものなのだろうか。
また、写真にはないものの、軒裏には色とりどりの文様は吉祥文様や
宝尽くしと言われるものが描かれている。瑞雲(ずいうん)、丁字(ちょうじ)、
方勝(ほうしょう)と呼ばれる方形の首飾り、現在でも漢方で珍重されている霊芝(れいし)、
即ちさるのこしかけが描かれている。(webマガジン「ナガジン」より)
唐寺、崇福寺の中には様々な縁起物が描かれているようだ。
さり気なく描かれている様に見える、雲のようなこのカタチ。
実は蝙蝠(こうもり)である。
そう、崇福寺と縁の深いカステラの老舗「福砂屋」さんの商標にも
なっている蝙蝠だ。
国宝の「第一峰門」には牡丹と蝙蝠が描かれている。
中国で牡丹は、花王とも富貴花とも呼ばれ、高貴さ、富や繁栄を象徴する花として
尊ばれている花だとか。新天地である長崎での富、繁栄への願いが込められて、
牡丹が描かれたのであろう。
蝙蝠の方は、webマガジン「ナガジンによると、元々、蝙蝠は中国語で「蝙蝠(びぇんふー)」と
発音し、「蝠」が「福」と同じ音であることから中国人の最も好むものの一つとされているそうだ。
吉祥を意味し、福寿を祝うものには必ずコウモリが用いられるとのことだ。
また、日本でコウモリというと不吉なイメージではあるが、それは映画や小説
の影響でごく最近のことだとか。かつては日本でも中国文化の影響で、
また蚊など害虫を食べる益獣として縁起のいいものとされていたそうなのだ。
描かれている物一つにしても、そこには意味があり、願いや希望が込めら
れている。その意味を知れば知るほど、さらにまた興味がわき知りたくなる。
崇福寺の境内をゆっくりと歩きながら、歴史好きな方の気持ちが何だか少しだけ
わかるような気がしてきた。
つづく。
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by woshicahori
| 2009-02-18 13:45
| *Japan